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現実に右往左往しながら、ときどき動画を作る人の記録。

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Liner Note-jt03(sm19650678)

昨年の暮れ、雪歩の誕生祭に次の動画を上げました。



伊織、真に続き、私が構成を行ったものでは3作目、偉大な先駆者である淫の蘭Pからの通算では5作目となる情熱大陸×im@sシリーズです。誕生祭の勢いもあってか、今まで以上に多くの方々に視聴していただいたようで、構成を担当したものとしては感無量です。

さて、ここで改めて情熱大陸×im@sシリーズの経緯について長々と述べるのも、なんだか野暮な感じがしますので、ここではシンプルにナレーションのシナリオそのものを丸々載せてみようかと思います。音量バランスの関係上「PVが入っているところでよく聞き取れないナレーションがあった」という方は、そのシーンではこんなことを言っていたんだよ、という補足資料として眺めていただければよいかと思います。

では、以下がシナリオ&構成メモです。実際に書いたものをそのまま転記しています。ナレーションの継ぎ目、皆さんわかったでしょうか?


<Opening_yukiho.avi>
共通部分:「情熱大陸×新垣結衣」OP図形展開をトレース
衣装:ホーリーナイトドレス
曲:神様のBirthday
直筆サイン:公式サイト(無印)よりベクタ化後透過png
提供音声:[D]Yukiho_Sponsor_Announce_2-pass.wav
※提供音声はBGM抑制処理後のものを使用

-----ここから本編-----

※本編中、主語等の差し替えが必要な場合は「wav/共通」フォルダから、声音・韻の適切なものを選択して使用すること

[20061013]
(Y00)
初めて会ったのは1年半前
(受賞を記念してのサイン会場だった→CUT)
(作家角田光代さんは→CUT)(彼女は)とても恐縮しながら僕の名刺を受け取った
「すいません、私名刺無いんです。すいません、頂戴します。すいません」
(僕より1つ年下なだけ→CUT)
緊張しすぎのように見えた
けれどオドオドしていると言うわけではない
ちゃんと目を見ながら話をする

-----シーン切替-----

【ランクF ある日の風景1】
【字幕】「予習中ですか」
雪歩「はい、また新しい仕事に向けて、新譜のおさらいとか、やってるんです」
【字幕】「さすがに熱心ですね」
雪歩「あ、いえその、熱心というか……とにかく、きちんとやらなくっちゃですから、ね?」
【字幕】「ところで、萩原さんはどういったきっかけでこの仕事を?」
雪歩「それはその……実は、友達が勝手に書類を書いて、応募しちゃって……」
 「あ、だけど、オーディションは、私ひとりで、受けたんですよ」
 「うーん、でも、なんでだろう?ちょっと自分でも不思議で」
【字幕】「不思議、とは」
雪歩「目立ったり人から注目されるの、私、正直……苦手だったから」

<選択肢→CUT>

【字幕】「今では、だんだんとアイドルが板についてきているように見えますよ」
雪歩「あっ、そ、そうですかっ!?」
【字幕】「それにオーディションを受けたのですから、心のどこかでは何かを変えたい、と思っていたのではないでしょうか」
雪歩「えっ、は、はい!たぶん、きっと……そうですっ」
 「その、私、結構人見知りとか、しちゃうほうですけど……」
 「でもこれから、だんだん自信持ってやっていければいいなぁ、なんて、思って」
 「ステージで堂々、自分がアピールできるように、なれたらなぁ、って……」
【字幕】「素敵な目標ですね。応援しています」
雪歩「ありがとうございます。これからも精一杯やりますので、よろしくお願いしますね!」

-----シーン切替-----

[20060908]
【ここから未使用】
(Y01)
人生に大きな変化が生まれる時には必ずこうした「きっかけ」があります。
それは旅先で見かけた美しい風景だったり、映画の中の何気ないセリフだったり、ラジオで流れてきたはやり歌の一節だったり。
人それぞれ、時間にするとほんの一瞬でしょうか。
気持ちの中に突然『青信号』が点ったかのように人生の歯車がギアを入れ直して前へと進み始める瞬間です。
【ここまで未使用】
(Y02)
この彼女、それまであまり自信がなく、不安でもあったようです。

[20060908]+[20070126]+[20061020]+[20070413]
(Y03)
それでも、
(Y04)
そんな彼女が、
(Y05)
もし可能性があるのなら、一度試してみたい、と思ったのは、
(Y06)
何故なんでしょう。

[20060414]
(Y07)
――このエネルギーの源っていったい何なんでしょう。

-----シーン切替-----

【ランクD ライブ鑑賞(勉強)】

【字幕】「オールディーズバンドですか。聴くとは意外でしたが良いですね」
雪歩「私、好きなんです!お母さんも、こういう音楽、好きで、よく聴いてて」
 「シンプルなリズムで……ゆったりした雰囲気とか……いいですよねぇ」
 「そのうち、ああいう曲をやってみるのもいいかな……なんて」
 「どうですか、面白いと思いませんかっ」

<選択肢→CUT>

【字幕】「それもまた魅力的かもしれませんね」
雪歩「でしょう?」
【字幕】「もし実現したら、そのときは聴きに行きます」
雪歩「はい、是非。お願いしますねっ」
【字幕】「それにしても萩原さんのお母さんは、なかなかいいご趣味ですね」
雪歩「はい!お父さんと知り合うきっかけも、実はオールディーズバンドだったり……」
【字幕】「そうだったんですか」
雪歩「昔、お父さんが元バンドマンで、お母さんがライブのお客さんで、それで」
【字幕】「ご両親揃って、音楽が好きなんですね」
雪歩「いえ……今はお父さんは、音楽やらないです。CDも聴かないし、歌番組も普段は見なくて」
 「ギターも、私が生まれたあとくらいから、弾かなくなってしまったそうです……」

<選択肢→CUT>

【字幕】「そうでしたか。それはちょっと残念です」
雪歩「そうですね、お母さんも残念そうで……」
 「あっ、でも、ギターはいまでも大事にしまってあるんです」
 「お父さんが昔使ってたギター……また弾く気になってくれたときのためにって、お母さんが」
 「私も……お父さんのギター、一度、聴いてみたいな……」
 「いつか、私の歌と一緒に、弾いてくれたらなあって、思ってるんです」

[20060120]+[20090626]
(Y08)
言葉や行動の端々に、
深い思い入れが覗き、
(Y09)
屈託のない笑顔で語る(村上さんの→CUT)目には力強い輝きが溢れていました。

【ここから未使用】
[20060414]
(Y10)
人の魅力を身の回りの誰かに語る時、人はとても饒舌になります。
温かくなります。
そして聞いているほうまで気持ちが柔らかくなって嬉しくなります。
「好きな人の魅力を語る喜び」というのは大人になるにつれて覚えていく喜びではなく、人が人としてあらかじめ持っている何か本能的な喜びなのかもしれません。
【ここまで未使用】

-----CM入り-----

<CM1-1>
【公式】
THE IDOLM@STER シンデレラガールズ

<CM1-2>
アイドルマスター 「アイドルですいません。」
FRISKP
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14992568

-----CM明け-----

【字幕】:#彼女の日記より

※BGM付加
アイマス 雪歩 kosmos,cosmos ローズピアノアレンジとか
k-zo さん
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9183363

[20070608]
(Y11_additional)
きっと10歳のころだったのだ。
あのころ、(言語化はできないけれど→CUT)ずっと考え続けていたのだと思う。
自分は、自分以外の他者とどう折り合いをつければいいのか。
自分は、他者たちの中でどんな位置づけにあり、その場所はどうすれば必要とされ、どうすれば保障されるのか。
そんなこんなをひとり孤独に、さびしいけれどさびしいと口に出してはいけないのだと勝手に決心し、自意識過剰に闘っていたのだ。

[20080411]
(Y11)
今すぐではなくても、目に見えなくても、
何かにチャレンジしたい、でもいったい何をすればいいんだろう。
帰り道の表参道の交差点で、立ち止まってはみたけれど、そう簡単に答えは出ないかもしれない。
熱意と行動力、そして何より倒れてもまた立ち上がって歩み続ける強さを私は持てるのかもわからない。
でも、これだけは言える。

【ここから未使用】
[20080502]
私が今までいたところは、さやのなかの世界みたいだったのではないか。
やわらかく、あたたかく、安全で、いつもだれかがともにいて、うとうととまどろんでいるような世界。
■これから、家族の愛情とは異なる種類の愛を私は知ることになるだろう。ひとりの帰り道よりもずっと深い孤独を私は知ることになるだろう。今まで拭いてきた涙より、もっと塩っ辛い涙を流すようになるだろう。そういうことすべて、この私自身でぜんぶ受け止めていくのだ。
そんなことを考えていると、不思議と、帰り道に不安を感じていた自分を笑い飛ばしたいような、剛胆な気分になった。
【ここまで未使用】

[20090102]
(Y12)
(泣け。→CUT)笑え。叫べ。走れ。
そうだ、もう、それらを自分に許したっていいのだ。
今まで笑わなかったぶん、(泣かなかったぶん、→CUT)叫ばなかったぶん、走らなかったぶん、精一杯やっていいのだ。

-----シーン切替-----

【PVパート-A1】
アイドルマスター 雪歩 ALRIGHT* 【ダブルゆきぽデュエット版】
さとP
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15617597

(Y13)
(プロデューサーは)([20071116]次のように語ってくださいました。)

(Y14)
(彼女は)
[20070511]
逃げ道を作らずに何かに真っ正面から向かうのが怖くて。
失敗したら、自分が向いてなかったらっていうことを考えて挑戦することが出来ないんです。
[20070824]
(Y15)
と言っていました。

[20070511]
(Y16)
自分のやりたいことはハッキリしているのに、それ相応の努力もして幾らかの自信だってあるはずなのに弱気の虫が頭をもたげてしまう。
ともすれば失敗の言い訳のきく安易な選択肢を選んでしまったり―。
好きなことやりたいことに思いっきりチャレンジしてるんだろうかと考えてみた時に不安を感じた、ということのようです。

[20061117]
(Y17_vo)
その不安、よく分かります。
僕だって、今でもそうです。

[20070427]
(Y19)
プロデューサーがこんなことを言うと身も蓋もありませんが
どれだけ長い間
(Y20)
(取材を重ねても→[20070824]彼女の+[20070629]傍らで過ごす+[20070126]ことが出来る+[20070629]としても)
(取材対象→彼女)という人間を完璧に理解するなんて出来ません。
そんなことが出来ると思っていたら大間違いというか傲慢でしょう。
せいぜいほんの少しだけ分かる、あるいは分かったような気がするだけです。

[20060707]
(Y21)
けれど、よくよく考えてみれば、(私たちと→CUT)同じような感覚もまた、幾らだってあるはずです。
読んでいる本、聴いている音楽、使っている道具。
それらすべてが(私たちの感覚と→CUT)かけ離れている訳ではないでしょう。
むしろ、その多くは同じような気がします。
人間、不思議なもので、たった一つでも共通点を持っていると、今の今まで何か特別な存在だった人でさえ、急に親しく、近く感じられるようです。

[20060127](M36)+[20070824](M37)+[20060127](M38)
そしてそんな瞬間にめぐりあったとき、
(彼らが→彼女が)ふと見せた表情――たとえば、本番を前にした緊張の面持ちだったり、ひと仕事を終えたあとの会心の笑みだったり、思いがけず流された涙だったり――がときに何よりも雄弁な答えになるのです。

【BGM付きのため未使用】
[20060324]
と、カッコいいこと言いましたけど、
でも、本当にそう思います。そう思いませんか?
【BGM付きのため未使用】

-----PV切替-----

【PVパートA-2】
アイドルマスター 雪歩 何度も言えるよ 【From MASTER ARTIST2 07】
さとP
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13301498

[20070105]
(Y22)
クレームつけられたりで、ふがいなくて泣いた日もありましたけど、どうにかなるもんです。
なんとかうまくいくもんです。

[20080111]
(Y23)
叱られながらも、褒められる――何だか子供のしつけのようですが、いつも、こんな感じなのです。
批判の嵐だけが吹き荒れることもありませんし、賞賛の拍手だけが聞こえてくるということもありません。

【ここから未使用】
[20080516]
いざ蓋を開けてみると、
インスピレーションだったり、自分自身への問いかけの機会だったり。
その話は、いつもどこかで、(アイドル)の真髄とつながっていました。
[20090529]
それは、何かを成し遂げた人たちと比べると、小さなことかもしれないですけど…。
でも、僕にはそれがすごく必要なことなんです。
【ここまで未使用】

[20091204]
(Y24)
だからこそ、そこから頂いたものを、(できるだけ多くの視聴者に、→CUT)最高の形で提供することが、特等席を与えられた者の義務であり、そこにこそ自分の存在価値があると思うんです。

[20080425]
(Y25)
朗らかで良く通る柔らかい声で、
[20081128]
(Y26)
(彼が→CUT)(子ども会での→CUT)([20080229]これまでの)経験を一つ一つゆっくりと、たとえ苦労話でも楽しそうに話し始めると、([20060602]お二人とも)何とも言えず頼もしく映ります。

[20090327]
(Y27)
それだけ鮮やかで強い経験だった証拠、と言えるのかもしれません。

[20071221]
(Y28)
表面には出てこないそのドラマがあるからこそ、
[20071116]
(Y29)
インタビューの最後に、
[20090227]
(Y30)
(最後に→CUT)嬉しそうに笑った笑顔は、厳しさの向こうにあるほんとうの楽しさに溢れていました。

-----CM入り-----

<CM2-1>
【公式】
THE IDOLM@STER Shiny Festa グルーヴィーチューン

<CM2-2>
アイドルマスターを知らないオトコなんて。
しゅがP
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16965466

-----CM明け-----

【字幕】
アイドルとして着実に成長していく彼女――

しかしこれまで共に歩んできたプロデューサーは
この番組が放送される頃、彼女のもとを離れることが
決まっている。

それに対する想いを、そしてフェアな決意を、
彼女は取材終了間際に完成した一本の
ミュージックビデオの中で示してくれていた。

今年で結成10周年を迎えたロックバンドとの
コラボレーション。

タイトルは――

【PVパートB】
アイドルマスター2 re:changes
シラカワP
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14082595

-----シーン切替-----

【ED】
BGM:Etupirka_4_Ending.wav
※スタッフロール、最後に制作・著作表示

(G4Uから厳選した画像を使用する→没)
【採用】:「First Step」ゲーム内回想PV

[20090911]
(Y31)
(彼女は、)歌にすることで、ただの言葉であるよりも何倍も多くの思いが伝わることを(彼は→CUT)知っている。

[20090814]
(Y32)
仕事を正直に「怖い」と語る時にも、そこに潜む未来への可能性に誇りと意義を感じ、喜びを見出しているようだ。

[20091218]
(Y33)
困難の一つひとつに動揺してはいられない。
その宿命を、(岩佐さんは→CUT)静かな覚悟とともに受け容れている。

[20091106]
(Y34)
ただただ無心に、自身の心臓の音と心の声を聞きながら、
[20090904]
(Y35)
胸の内で問う。答える声はしないが、問い続ける。

-----To be continued AND Happy Birthday YUKIHO!-----

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Liner Note-mv13(sm12278695)



アイドルマスター2では彼女たちをプロデュースすることができない、という、今のところそう簡単には覆りそうもない現実。それはかなしいことです。

ああ、彼女たちは行ってしまった。
前のステージはからっぽだ。
誰もいない。

そう考えた人がいるとします。
ずっと空っぽのステージをぼんやりと見ているとします。
「昔はよかった」とかため息混じりに言いそうな顔をしているとします。

私のことです。

一方で、そういう人を励ましたい人がいるとします。
つらいけど、苦しいけど、
またやり直してみませんか。
そう言いたそうな顔をしているとします。

私のことです。

この動画は、外へのメッセージの形をとってはいますが、実質は「私」が「私」へ向けた動画です。

ですから、「おしつけがましい」「空虚なセリフを言わせるな」との動画内のコメントは、はい、おっしゃるとおりです。彼女たちの姿をしてはいますが、その中には私もいるからです。彼女たちの面をつけた、「誰かを励ましたい私」がいるからです。と同時に、「誰かに励まされたい私」も観客席にいます。そのため、私以外の誰かが観客席についたとき、反発を覚える場合があるのも無理からぬことと思います。


作風の割に、私は自分の考えを文章で表現することが苦手です。
あの日の後、ブログやTwitterで何か書こうとしてもうまく書けなくて、でも何か言わずにはいられなかった結果がこの動画です。
動画を作る側の私が「こうだ」と言っていても、見ている側の私が「いや、それはこっちだ」と言っている、鈍く痛むささくれのような食い違いや苦さがこの動画には入っています。「さ、行こうか」と「無責任なことを言うな」のポジ/ネガがどちらも捨てがたく、そして等しく私の感情だということも知っています

その揺れ動く気持ちを動画にしてみたら、こうなりました。
次のステージで彼女たちが歌う姿を見た後も、「私」はまた空のステージへ戻ってきてしまいます。
迷っています。フラフラしています。

ですが、そこでこう考えてみるのはどうでしょう。
これが、「始まる前の」ステージだとしたら。
明るいライトが点き、歓声が響く前のステージだとしたら。
華やかな舞台の少し前にいるだけだと考えてみたら。
歌詞にある「二度目のチャンス」は、そういうものじゃないかと私は思っています。


私はアイマスが好きで、ニコマスも好きです。
そしてそれらを好きだという人たちが好きです。

それは、意地汚くずるい偽善であるかもしれません。
しかしそう思うときがあっても、私はまだ好きであることをやめられません。


その一つの決意表明として。

Liner Note-jt01(sm12114092)

新しいの、できました。



いつか作りたかったんですよね、この動画。
まずは形にできたことを素直に喜びたいと思います。

以下、制作経緯など。

---



淫の蘭Pの作品、特に「情熱大陸×如月千早」は私にとって特別な位置にある作品です。そしてそれは、私がニコマスPになろうと思った根っこの部分に深く関わっています。
そのあたりの話は、以前にふぃるPとの対談記事にて書いていますので、その記事の中盤以降を読んでいただければ、知ることができるかと思います。

たぶん、あの動画がなかったら私は今でも一人の視聴者のままだったでしょう。ただ時折、視聴者のままでいた方がよかったかもしれないと思うこともないわけではありません。視聴者であったときには素直に感動したり、「すごいなあ」と言えたりしたはずの作品も、どこか批評家めいた目で見てしまったり、「どうすれば作れるのか」と考えてしまったり、気にしないとは言いつつもやはりどこかで数字を気にしてしまったり。そして、そんな自分が嫌になったり。

どこに分かれ道があったのか。それは片方に進んでからはじめて見えてくることもありますが、でも、それでも私は今選択した道が満足できるものであると、この頃ようやく納得できるようになりました。


さて、2009年1月のPデビュー以降、窪田さんのナレーションを使った物語として私は

春香


千早


あずさ





美希


亜美・真美


雪歩


の話を作ってきました(イラストを描いてもらった柏城Pには、毎度毎度だいぶ無茶な注文してました。ごめんw)。

その経験の積み重ね、その集大成が今回の「情熱大陸×水瀬伊織」だと個人的には思っています。

ここで、知ってる人は知っている、知らない人は知らなくてもいい制作上の自分ルール。

「前の作品で使ったナレーションは、以降に制作する作品では使わない」

今回もまた、性懲りも無く守ってみました。また今回の場合、リスペクトの対象である「情熱大陸×如月千早」と「情熱大陸×天海春香」で使われた音声も使っていません。我ながら頑固で融通のきかないやつだなあ、と思ったりもするのですが、やっぱり一人一人を語る言葉はそれぞれ違うものであった方がいいだろうという考えのもと、あえてその不自由を楽しんで作っています。

ただし。

情熱大陸×水瀬伊織での 「労働や職業ではなく、生き方として選んだ道に は終わりがない」 という部分は、情熱大陸×如月千早で使われた、「職業としてこの道を選んだわけではなく、生き方として選んだのだ」 という台詞ととてもよく似ています。気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。

この部分は、元となったポッドキャストの回を聞くと、前者のナレーションが後者の直後に出てきます。内容的には重なってしまいますが、一歩だけ前へ進む思いを込めて使わせてもらいました。そしてこの台詞、私から淫の蘭Pへのメッセージでもあります。

ニコマスPは労働や職業じゃありませんし、また生き方なんて大それたものでもありません。ただ、誰かがすごいものを作って、そのすごさを受け止める人たちがいて、またそこから何かを始める人がいるなら、私たちが今見ている夢は続いていくんですよ、きっと。


なお、ふと気になって作業日数を確かめてみると、今回の動画は8月31日に制作を始め、9月6日にはMMDライブ動画以外の部分が完成していました。ということで、実質の制作期間としてはちょうど一週間ですね。この間は本当にこの動画のことだけを考えて過ごしていたように思います。作り始める前はもっと時間がかかるものと思っていたのですが、人間本気になって取り組めば、自分でも信じられないくらいのエネルギーを一つのことに注ぎ込めるのだと感じました。

そういった意味で、私も動画の中の彼女ほどではありませんが、ちょっぴり成長できたのかもしれません。

Liner Note-07(sm11123150)&mv12(sm11807068)

07(sm11123150)



3か月くらい経ってからようやくライナーノートなど書いてみるこのていたらく。

亜美・真美の話から実に8ヶ月ぶり。
このシリーズはこれでちょっと一区切りかなあ、と思っています。
やりたいことはいろいろやってきたし、一つのまとめとしてこの動画があるような気がします。

ただ今回は、いつもインストで終わるようなエンディングを歌モノのPVにして、雪歩に朗々と歌ってもらいました。
雪歩っていう子は、気弱で自信がなさそうに見えるけれども(そして最初は実際そうかもしれないのだけれども)、徐々に徐々にアイドルとして経験を重ねていくごとに、自分で歩もうとする強さが育っていくのが特に感じられる子だとも思います。

なので。
最後のPVの歌の歌詞はすっごく青臭くてへこんでいる感じなのに、曲調は力強く、彼女はこれでもかと笑顔で歌います。
全然、絶望なんかしていません。

また、PVに入る直前では

派手でもなく、目立つこともないのに、
なんだかかっこいい人たち。

そして、アイドルの私と普通の日々を送る私が、
どちらも、同じだけ大切な私なんだってこと。


というメッセージが出てきます。雪歩は、少し回り道をする途中で出会ったそういう「大人」たちを見て、無理につける仮面のようなものではなく、自分の一部としてアイドルという生き方に向かい合っていく。そんな気持ちを抱いたようです。

もちろん、これ以降も彼女は、つらいことやめげたくなるような瞬間をたくさん経験するでしょう。でも、そんなとき彼女は心の中でこの歌を歌って、また顔を上げて、再び歩き出すことを選ぶのだろうと思います。そういうエールを込めた話でした。

---

mv12(sm11807068)



暑がりな私は、実のところあまり夏という季節が好きではありません。
でも、そういう季節でも空だったり道端だったり、さまざまな所を見渡すと、はっとするような瞬間だとか言葉を失ってぼーっと眺めてしまうような景色がたくさん転がっています。

このPVは、夏の空ならではの量感がある雲と濃い陰影をより強調しつつも、ガラス細工のような真がその前で淡々と踊ることで一時の涼を得られるような感じで作りました。
そのため、真の存在感はやや薄まっていますが、決して「いなくてもいい」わけではありません。
私としては、この動画での真は、ラムネに入っている炭酸のようなものだと思っています。入っていないと甘ったるい水になってしまうところを、それを加えることでぐっと引き締める。そんな存在です。

そして、彼女の向こうに見える空は、他の部分の空とは少し色を変えています。その色の違いに、彼女が人形ではなく感情を持つ人間だという意味を込めてみました。静かに踊っているようでも、内面では喜び・興奮・不安・緊張など多くの感情が揺らいでいる。それが、人間だと思います。

でもまあ、こういったものは作者の解釈なので、これを見てくれた人が「きれいだなー」と何となく眺めて、そして次の動画を見に行くくらいのあっさりした感じで通りすぎていく方が、むしろこの動画の捉えられ方としてはよいように思います。夏の動画で、こってりした解説は無粋というものでしょうか。

Liner Note-mv08(sm9381248)~mv11(sm10877014)

4~5月にぽこぽこ上げたものについて、ちょっと振り返ってみる。

---

mv08(sm9381248)



タイトルは一発ネタ。
i am robot and proudのアルバム「The Electricity In Your House Wants To Sing」の中で特にまったりした感じの「good sleep」を使いました。

背景は、持っているデジカメに微速度撮影(一定間隔で長時間自動的に撮影する)機能があったので、実験もかねて。コントラスト上げ+輪郭検出で油絵っぽくなった見た目がお気に入り。

この次のやつにも続く話なのですが、「音を鳴らす」のではなく「歌を歌う」という行為はすごく人格的・人間的な面を持っている気がします。なので、動画内のメカ千早のように、ロボットも歌唱を繰り返し経験するごとにだんだん人間くさくなっていくようなことがあっても面白いんじゃないかと思います。

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mv09(sm10711934)



「歌」という漢字を分解したときに出てくる、「可」と「欠」という漢字。その起源として、「可」は人が何かを祈るときに出す声だとか、あるいは祈りで神器・祭器を叩く様子、また「欠」には体をかがめる・折り曲げる様子から生まれたものだそうです。

ということで、昔は歌うことが神様への祈りに直結していた時代もあったわけですが、じゃあアイマスの世界の中で、その「歌」に強く自身の価値や誇りを見出そうとする千早は、歌っているときどんなことを祈ったり願ったりするのでしょうね。また別に何かの宗教を信仰しているわけではなくても、すごく苦しいとき神様のようなものに願いたくなったことって、誰にも結構経験があるのでは。

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mv10(sm10864348)



「Le Bleu」とはうってかわって、歌モノ中心のアルバムである「Justin King and the Apologies」からの一曲。歌詞はけっこう青臭く、若者の視点で恋人・仲間・友人・夢など「まぶしく思えるもの」からの別れを表現しているような感じです。

サビでは、「大丈夫だよ、なんとかやってくさ」と言っていますが、そのセリフの末尾に「だけど(but)」がついているので、去りゆくものにまだ後ろ髪を引かれているような思いを残しつつも、虚勢をはっている印象を受けます。

で、この曲は男性歌手の歌ですが、今このPVの中で歌っていることにしているのは雪歩です。ナファランPの動画ですでにわあわあ議論されたことだと思いますが、「さよなら」を言っちゃうのって結局最終的には僕たちの側なのかなあ、と。ゲームのシリーズが提供終了・稼動終了するとかそういう出来事も含めて。

そのときに、彼女たちが「大丈夫だよ、なんとかやってくよ」と別れの言葉を笑顔で言うのなら、その表情の下ではこんなふうに悩むことがあるのかもしれません。

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mv11(sm10877014)



Telefon Tel Avivのアルバムで、この曲が入ったCD(題名はそのまま「Fahrenheit Fair Enough」)がずっと欲しかったのですが、先日新品の在庫を通常価格で入手するという幸運に恵まれたので、一つ作ってみました。

曲は、凍りつくような旋律が印象的なエレクトロニカの傑作ですが、カラーでこの長さを作りきれるほどの根性がないのでほぼモノクロームで。

でも、こんなすごい曲を作った彼らTelefon Tel Avivのメンバー、Charles Cooperは2009年1月22日に亡くなりました。自殺ではないとのことですが、睡眠薬とアルコールを誤って混合摂取したことが死因となった可能性があるようです。これに対する追悼、そしてもう一つオクラ山ため蔵Pが自主削除した「COLORS」への追慕も込めてみました。