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現実に右往左往しながら、ときどき動画を作る人の記録。

SSS-あの日あの時

拙作(sm5909412)のセルフ補完
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今日はよく晴れている。風の強さも、ちょうどいい。
春から夏へ。
その移り変わりの途上にある初夏の入り口に立って、私は窓の外を見る。
入り込んできた風で揺らぐカーテンの向こうで、洗濯物も同じように揺れている。
ひらひら、ゆらゆら。
そして、それをすり抜けて届く太陽の光。
きらきら。
思いがけない眩しさに、一瞬目をつむる。

その時、呼び鈴が鳴った。
私は猫のように横たわっていた体を起こして、玄関に向かう。
窓と反対側の方向にある玄関は、少し薄暗くひんやりとしている。
飾り気のないドアについた小さなレンズの向こう側。
そこにあの人がいる。
驚きはない。激しい感情のうねりもない。
ただ心の水たまりに、静かな波紋が広がってゆく。

鍵を外して、ドアを開ける。
時間は経っても、私が見るあの人はやっぱりあの人のままだ。
同じじゃないのに、同じだと感じる。


「春香」


「―何ですか、プロデューサーさん」


「ただいま」


「おかえりなさい」


少し間をあけて、もう一度言う。


「おかえりなさい」
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